マンスリーマンションや民泊という言葉が少しずつ浸透してきています。自分には関係ないと思っていても、突然必要になる可能性があったり、費用を抑えようと思ったらマンスリーマンションや民泊が良いという選択になったりするかもしれません。
そんな時に備えてそれぞれどのようなものか理解する必要があります。
マンスリーマンションとは1ヶ月間や半年間などの短期間で契約して住むことができるマンションのことです。一般的なマンションは1年や2年といった長期間の契約を結ぶことが多いのですが、マンスリーマンションは最短で1ヶ月契約を結べるので、メリットがある方もいらっしゃいます。
仕事の関係で転勤が多く同じ場所に長く住み続ける事がない方、旅行中のホテル代わりにする方、長期滞在を目的とした外国人観光客、自分自身の趣味を楽しむためのセカンドルームにしておく方、一般のマンションが見つかるまでの間や戸建て住宅の完成までの間などに利用する方など多くの目的でマンスリーマンションは利用されています。
マンスリーマンションは初期費用である敷金、礼金を支払う必要がありません。一般のマンションだと敷金、礼金だけで20万円近く払い込むことが多く、費用が多くかります。また家具や家電など、生活していくのに最低限必要なものが揃っているのもマンスリーマンションの魅力です。
これらの要素も踏まえて東京都内に家賃9万円で住んだ場合の合計費用は、一般のマンションよりもマンスリーマンションの方が30万円程安くなります。憧れの東京暮らしを試しに始めてみたい方にとって便利なマンションです。
マンスリーマンションのデメリットは、一般のマンションよりも家賃が高いので、東京などで長期間住む事を考えている方には不向きです。また契約期間内に途中解約した場合の違約金が非常に高いので、住む期間がはっきりと決まっていないという方にとっても不向きなマンションです。
一般のマンションでは入荷する前にどんな部屋なのかを見に行くことが出来てイメージをわかせやすいのですが、マンスリーマンションはそれが出来ないという違いもあります。家具や家電が備え付けられているのでインテリアを変えることが出来ません。
自分のインテリアを楽しみたいという方にも不向きになっています。
民泊は宿泊用に提供された個人宅の一部や空き別荘、マンションなどの空室に宿泊することを指します。空き家や空き部屋を有効に活用することが出来るので、不動産売買をしたり、賃貸契約したりするよりも利用者が見つかりやすいです。
不動産所有者にとっては嬉しい活用方法です。旅館や民宿を始める際に建設から始まり、消防設備の整理やフロントの設置など、設備投資に膨大な費用がかかってしまいます。
その為中々宿泊業をやりたくても始められないという方が多いのですが、民泊だと費用がそれほどかからないメリットがあります。あくまで民家に宿泊するというスタイルなので、家の中を綺麗に掃除したり、ベッドやテーブル、ソファなどの家具や家電を揃えたり、利用者が快適に過ごせる空間を作るだけで始められます。
更に旅館などとの違いは利用者との交流を深めることが出来るという点です。民泊の利用者には外国人観光客も多くいらっしゃるので、話をする事で、異文化に触れるなどの貴重な体験をする事が出来ます。
利用者も旅館やホテルなどに宿泊するよりも安く、料理ができるキッチンがある事で外食などの費用を抑えられます。洗濯機で衣類を洗う事ができる事で少ない荷物で長期滞在をする事も出来ます。
手軽に始められて色々な方との交流を持つ事が出来るメリットもありますが、その反面部屋を汚されてしまったり、設備を壊されてしまったりといったデメリットもあります。部屋を綺麗に使ってくれる方ばかりとは限らないのでそういった点も覚悟しておかなくてはなりません。
また集合住宅で民泊を始められる方の場合、他の住民から苦情が出ることもあります。利用者の中には長期間にわたって滞在する事もあり、共用施設の使い方やゴミ出しなど集合住宅のルールがきちんと守られないこともあります。このようなトラブルが増えると、近隣住民から苦情が出て、最悪の場合は運営できなくなってしまう可能性があるので気をつけなければなりません。
マンスリーマンションと民泊の運営を行う際に事業者が守るべき法律が、借地借家法、旅館業法、新法民泊などといった具合で違います。借地借家法はマンスリーマンションを運営していく上で必要な法律で、建物の所有を目的とする地上権、土地賃貸借と建物の賃貸借について定められています。
旅行業法は、旅行業を営む者の責任を明確にし、旅行の安全および旅行者の利便の増進をはかった法律です。民泊はこの旅館業法に基づいて旅行業登録を行ってしまえば、運営は今すぐにでも可能です。
案外簡単に始める事が出来ると思ってしまいますが、この旅行業登録を行うこと自体が大変難しいことなのです。登録を行うことが難しい要因の1つに用途地域制限といわれるものがあります。
住宅が並んでいる所は『住宅専用地域』といわれる用途地域に区分されている事が多く、この住宅専用地域では旅行業を営業することが禁止されています。自分自身が所有している不動産の空き部屋で民泊運営を始めようと思ってもこの事が原因で始められないというケースも多くあり、中々営業するまで進まない要因でもあります。
新法民泊は従来の旅行業法で定める4つの営業形態や国家戦略特区域の特別民泊に当てはまらない、新しい営業形態の住宅宿泊事業に関して規定する法律です。人を宿泊させる日数として、1年間で180日を超えないものとして定められているので、その範囲の中で有償かつ反復継続するものとなっています。
180日を変えるような場合は従来の旅行業法に基づく営業許可が必要になってくるので気をつけなければなりません。これらのように運営者が守る法律、条例がそれぞれ細かく定められています。しかしその中でもグレーゾーンもあるため、違法に営業を行なっている業者もあります。こういったところを利用するとトラブルの元となりますので気をつけなければなりません。